2014年7月26日土曜日

メールマガジン78号の写真

2014年7月25日

カリフォルニアは毎日、雲一つない真っ青な空がひろがっていて、乾いた陽光
がシャワーのように降り注ぎ、とても気持ちよい。裏庭は木が多く少しひんや
りしている。毎朝裏庭の木に囲まれて、ヨガをしながら、朝日を迎える。ハワ
イの祈り、エアラエ!(朝日よ!)をチャントしながら。

5月の末に、ハワイを出て、カリフォルニアの自宅で暮らし始めた。17年前に
思い切ってカリフォルニア大学を辞任し、この家から西宮の関西学院大学構内
の古くて大きな西洋館に引越しした日のことが、つい先月のことのように思い
出される。




この庭に有機野菜を育てることがこの夏の目標だ。
オレンジやレモン、ビワは17年前も同じように見事な実をつけていた。プラム
の木は毎年赤い実がたわわになって、取りきれなくて鳥とリスに食べてもらっ
ていたのに、木が病気になったようで、半分枯れてしまった。プラムジュース
を作って飲むのを楽しみにしていたのに。

有機の土をぼかしで作って、畑を作り、トマト、なす、ピーマン、小松菜、ズ
キーニ、カボチャ、いちご、そして8種類のハーブを植えた。2か月間で、そ
れぞれしっかり成長してくれて、毎朝、庭をまわり「おはよう」とあいさつす
るのが日課となった。

表庭は芝をはがして、カリフォルニアネイティブの野花の種をたくさん蒔き、
コスモスの苗を植えた。2か月でコスモスはぐんぐん成長して、大輪のピンク
の花をさかせて揺れている。

俳人でもあった父はコスモスが好きで、彼の晩年の句を思い出した。
「残る日々 合掌一筋 秋桜」

17年間で変わったことといえば、この街オークランドの犯罪多発地区にも都市
農場がいくつもできたこと。空地や庭で野菜を作る人口がだいぶ増えたようだ。

BBQパーティーもかつてのように肉をジュージューというより、大きなズキ
ー二の厚切りやアスパラのオリーブ油漬け、マッシュルームのチーズ焼きなど
が好まれる。

そういえば、先日、娘夫婦と一緒にした裏庭でのBBQパーティーで、ちらし
寿司を作ったら、友人たちが「ライスサラダ、最高!」といって大喜び。大き
な皿に二つも作ったのに、すぐになくなってしまった。ちらし寿司をライスサ
ラダと呼んだアメリカ人の親友のネーミングが新鮮だった。

我が家とのなじみを取り戻しながら、同時に昔の友人たちとも17年の歳月がた
ったことが信じられないくらい、すんなりと友情を復活させている。
その一人は、アメリカン・インディアンのキャロル・ワペパ。付き合いは34年
になる。オークランドの貧困地域のただなかで、都市インディアンの若者たち
の集まる場所、「サバイバルスクール」を開いていたインディアン・リーダー、
故ビル・ワペパの妻だ。




彼女は今、NPOインター・トライバル・ハウス(都市インディアンのコミュ
ニティ活動団体)のディレクターとして大活躍している。
「ゆり、毎週木曜日は、ドラムと踊りのクラスとコミュニティーディナーだか
ら、来て」とメールが来る。「ゆり、有機野菜ガーデンのボランティアに来な
い?」と次々と誘ってくれる。



キャロルも私も同年齢の子どもたちがいて、当時も、インター・トライバル・
ハウスでイベントがあると、彼女と私の子どもたちはハウスの中を駆け回って
遊んでいた。

健康クラス、子どもたちのサマーキャンプ、ティーンズのアートクラス、イン
ディアンの伝統ダンスとドラムクラス。高齢者向けのヨガクラス。そして毎週
のコミュニティディナー。キャロルは才能ある人々の協力を次々と取り付けて
多彩なプログラムを企画している。

もちろんすべて無料で提供なので、財源確保が大変だ。でもそれも彼女にとっ
ては嬉しい仕事のようで、ニコニコ顔が絶えない。17年ぶりに会うキャロルは
孫3人の世話を楽しみながら、インディアンコミュニティに奉仕する毎日が
楽しくてならないようだ。

オークランドのダウンタウンはかつてわたしのオフィスがあったところだ。そ
のすぐ近くに、10年前にイーストベイ・メディテーション・センター(東湾瞑
想センター)EBMCができた。
わたしは、6月の初めから、ほとんど毎日のように、このセンターに通って、
ヨガ、気功、瞑想をしている。

                 ウガンダの仏教僧バンテ・ブッダラキータの法話


週末には丸一日研修がしばしば開かれる。「怒りの感情と瞑想」「仏陀の慈悲
(マイトリー)の瞑想」「仏陀の教えによる非暴力による対立解消」といった
テーマの研修に参加した。

ここは、すべて無料で、dana(お布施)によって運営されている。仏陀の教えに
倣って、教える先生たちは、アメリカ仏教やヨガ、瞑想のエクスパートだが、
danaを受け取るだけ。

また、ここは、人種マイノリティーや性マイノリティーの人たちのためのクラ
スも頻繁に開催している。

何度も出入りするうちに、友達がたくさんできた。
ヨガのクラスに参加したとき、わたしのすぐ隣のマットに座っていた背の高い
アフリカ系アメリカ人の女性が、「あなた、ずーっと昔にCAPをやっていた
ゆりじゃない?」と声をかけられてびっくりした。「わたしはそのもっと前、
コロンバスのオハイオでCAPが始まった70年代後半にサリークーパーたちと
一緒にCAPをやっていたネルよ」と言う。

思わぬ出会いに互いに嬉しくなって、後日、待合せて、オークランドの湖を一
緒に散歩した。彼女はわたしが知っていた頃は男性として生きていて、名前も
ネルソンだったことがわかり、思い出せなかったのも無理はない。

「33年前のことなのに、わたしのこと覚えていてくれて嬉しい」と言ったら
「そりゃそうよ。CAPはその後のわたしの人生の考え方の原点になったん
だから」という。「それって、日本のCAPのベテランたちが言うことと同じ
よ」
それからしばらく、私たちはそれぞれのCAP以降の人生を語り合った。

湖畔の散歩から5日後、わたしは親友、ビビアンと一緒にマリン郡の山の中の
美しいリトリートセンターでの7日間の沈黙瞑想合宿へ向かった。彼女はCA
P時代、全国各地でCAP養成講座のトレーニングをわたしと一緒にやった
棒だ。

7日間一言も話さずに100人近くの人々と一緒に瞑想とヨガをするリトリート
は、まさにその言葉どおり、リ・トリート(あらためて自分ケアをする)だっ
た。こんなに「今、ここ」の自分の心身にすべてを集中させる時間の流れに身
をまかせたのはいつだったろうか。おそらく、子ども時代以来のことのように
思う。

朝5時半、山や丘がまだ霧に覆われている中、一人山を登って、高台でヨガ瞑
想をした。ほかにもヨガをしている人がいる。言葉をかわさなくても、何の違
和感もなく、ただその人の存在を心地好く受け入れている自分がとても興味深
い。


ネイティブアメリカン動物占い師からわたしは七面鳥。
                 これからは無償の愛を世界にもたらすために生きるでしょう
                 と言われて神妙な思いになった。


言葉を使わずに、「今、ここ」にすべてを集中する瞑想を一日に10時間以上つ
づけていると、自然の音や気配に敏感になる。鹿の家族三匹が山を下りてくる
気配がわかる。七面鳥の雄と雌が会話を交わしている声が聞こえる。

45分の座禅瞑想、30分の歩行瞑想、45分のヨガ瞑想を夜まで交互に続ける。
夜の法話はもっぱら「マインドフルネス」の方法や効果や仏陀の教えだ。アメ
リカでは、医療、メンタルヘルス、教育、福祉、ビジネスマネジメントと多岐
にわたる分野で「マインドフルネス」の活用が超ロングランで大人気だ。メン
タルヘルスでは「認知行動療法」はすっかり影をひそめてしまった。グーグル
社などのIT先進企業では、職員研修にマインドフルネス瞑想をとりいれて数
年になる。

満天の星の下で、マインドフルネスの華やかな成功譚ではなく、「今に生きよ」
との仏陀の声に耳をすます。

7日間の沈黙瞑想行の解除  ヴィヴィアンと



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森田ゆり講師の関連テーマ研修 in 大阪
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 時間 9時半~17時   定員50人

 研修の申し込みは
 http://www.9.zaq.jp/empowerment_center/

8月23~24日 多様性トレーニング・ファシリテーター養成講座
9月20日   アロハ・ヒーリング・ヨガによる心と身体のエンパワメント
9月21日   マインドフルネスと共感力~学校、施設、職場での瞑想の活用
10月4~5日  アサーティブ・コミュニケーションのスキル研修
10月18~19日 子どもの虐待・DV家族への援助対応スキル研修
12月20日   「気持ちの本」を使った<気持ちワーク>
        ファシリテーター養成講座
12月21日   体罰の問題性と体罰に代わる関わり方

 以下は他の地域での開催
 講師は森田、内容は関西で開催しているものと同じ。

8月2日 名護市 ファシリテーション研修
        ~質問力とコメント返しのスキルアップ
8月31日 東京  ファシリテーション研修
         ~質問力とコメント返しのスキルアップ
9月5日 札幌  マインドフルネスと共感力
        ~瞑想の学校、施設、職場での活用
9月5~6日 小樽 子どもの虐待・DV家族への援助対応のスキル研修